復興実現の方法:3つの柱(2011.4)
2011年4月、東日本大震災復興構想会議が設置されると、専務理事の西郷真理子が同会議検討部会の委員となった。歴史的な中心市街地の再興に注力すべきという復興のイメージを描くとともに、その実現手法として3ポイントアプローチの前身となる「実現の方法(三つの柱)」を掲げた。
第1回の会合は、構想会議は4月14日に、検討部会は同月20日に開催された。西郷は同月24日に開催された第2回の検討部会で意見を述べ、高台移転だけでなく、昔からの中心市街地の復興に注力すべきだと、次のように述べた:
復興の具体イメージが固まったとして、どのように実現していくか。デザイン、スキーム、産業の三つの柱が必要だと考えます。1)復興する町は美しくなければいけません。この意味でデザインはきわめて重要な柱です。どこに町を復興するか、どこを自然や農地に戻すかなどのゾーニングを行い、デザインコードを合意して、美しい町並みを再生していきます。2)次に重要なのが事業のスキームです。土地に係る権利は、定期借地権によって所有と利用の分離を図り、上記のゾーニングが実現できるようにします。実施主体は、まちづくり会社です。財源は、公的資金を呼び水に、地域内および他地域・世界の企業・市民から社会的投資をあおぎます。定期借地権は、買取という方法もあり、そのために、資産の流動化法などを活用して、買取機構を設立するという方法もあります。3)産業の復興では、周辺地域と連携し、再生した町並みを中心にライフスタイルのブランド化し産業化していきます。
アーカイブス 7:復興構想会議検討部会メモ:持続可能なまちづくりをめざして(発表原稿つき)
さらに5月7日の第4回検討部会で追加意見を述べ、①市街地をコンパクトに、②多様な資金調達、③地域資源を大切にした持続可能なまちづくりと産業育成、④まちづくりの主体は住民、⑤PFIを積極的かつ柔軟に活用、などを提案した。
アーカイブス 8:【発表スライド】追加意見
検討部会は6月14日の第8回をもって終了し、復興構想会議は6月25日『復興への提言:悲惨の中の希望』を発表した(構想会議は11月10日の第13回まで開催)。その後、委員の有志は「チームまちづくり」を結成、8月24日に「人口減少社会における持続可能なまちづくり:まちづくり会社を活用した復興」をまとめた。
■参考文献・資料
*チームまちづくり『人口減少社会における持続可能なまちづくり:まちづくり会社を活用した復興』2011.9.5→アーカイブス