長浜町家ステイ(2010 年4月)
2010年4月、長浜の新しい魅力として、歴史的な町家を活用した町家ステイがオープン。町家一棟を丸ごと貸して生活体験してもらう試みだ。歴史的な建物に、宿泊したり住んだりしてもらうことは、ライフスタル・ブランド化のもっとも重要な手段のひとつだ。
長浜では、2006年度に全国都市再生モデル事業に応募し「長浜新町家スタイル:まちなか居住:商業開発から住宅開発へ:市民が担うディベロッパー」という計画をまとめている。人口減少が著しいまちなかに、伝統的な町家をいかしつつ、住宅を整備しようという計画だが、実現には至っていない。宿泊施設という形で、一足先に町家ステイが実現することとなった。
日本で活動するアメリカ人、アレックス・カーさんの主導ではじまったこの試みは、京都では庵(いおり)という事業体が「京都町家 暮らすように旅する」として運営している。長浜では、彼らの指導を得て、2軒続きで中華料理店として使われていた江戸時代にさかのぼる古い町家を修復、一棟貸しのステイとして整備、「季の雲ゲストハウス」として開業した。場所は、長浜の中でももっとも歴史的街な町並みの遺る南伊部町。道の反対側が空地になっていたので、そこに町並みを補うように町家デザインのプチホテルを新築(このような町並みの欠けたところを補う開発を「インフィル型開発」と呼ぶ)、朝食も提供できるレストランとギャラリーを併設した。
日帰りの観光地である長浜に宿泊機能を強化する新しい試みである。このように町中をまるごと宿泊施設にする方法は、Albergo Defuzo(分散型ホテル)としてイタリアの歴史的都市で組織的に展開され、日本でも篠山などで取り組まれている。ただ、日本の場合は、建築基準法や旅館業法が壁になることから、制度や体制の整備が急がれている。
修復された町家には、コレクションのル・コルビジェがデザインした椅子をはじめ、センスが光る家具調度が配置され、それ自体が、伝統的な日本家屋を活かした新しいライフスタイルの提案となっている。外国人観光客が泊まっても困らないように、2階にはシャワーユニットが建物を傷つけないように設置されている。現在は、「まちやの宿・いろは」として運営されている。一度宿泊してみようと思われた方は下記の次のホームページから予約できる:
写真 38:
■参考文献・資料
*NHK地域づくりアーカイブス
http://www.nhk.or.jp/chiiki/movie/?das_id=D0015010060_00000
http://www.nhk.or.jp/chiiki/movie/?das_id=D0015010363_00000
http://www.nhk.or.jp/chiiki/movie/?das_id=D0015010362_00000