石巻まちなか創生協議会(2011.12)


復興の現場でも、3ポイントアプローチに基づく復興の動きが始まった。石巻のまちなかの復興を願う市民たちは、2011年12月、「コンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会(通称:街なか協議会)」を発足させ、街並み部会、事業推進部会、ライフスタイルブランド化部会を設けた。

石巻におけるワークショップ(2011年9〜10月)

 中心を担ったのは、2001年に設立されたまちづくり会社(株)街づくりまんぼう。被災した中心市街地に拠点「石巻まちカフェ」を設け、復興まちづくりに関する意見交換、情報交換を行い、専門家・大学関係者を交えた勉強会に意欲的に取り組んだ。

 こうした動きの中で、いくつかの街区では独自にまちづくり検討会が設立され、具体的な計画の検討が進められはじめた。2011年12月、これらの個別の検討の連携を図り、中心市街地として総合的に復興まちづくりを検討・推進していくために「コンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会(通称:街なか協議会)」が発足した。同協議会会則は第2条(目的)に次のようにうたった:

本会は、石巻市の中心市街地の復興整備について、地権者等関係者及び関係諸団体との協働のもとで総合的に検討し、今後一層深刻化が懸念される人口減少・少子高齢化に対応した持続可能なまちづくりの最先端モデルとなることを目指し、石巻らしい景観・歴史・文化の薫る街づくり・街並みづくりを推進し、地域の発展に寄与することを目的とする。

 役員には石巻市、これまでまちづくり検討をサポートしてきた専門家・大学関係者、商工会議所や地元NPO等の代表が入り、具体的な企画を検討していく組織として街並み部会、事業推進部会、ライフスタイルブランド化部会を設置した。

http://www.ishinomakimatinaka.com/matikyou/

コンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会の組織体制

 各部会はそれぞれ成果をあげている。街並み部会は、東北大学姥浦研究室の支援のもと、街の全体的なあり方について話し合う場として、広く住民の参加を募りながら街並みづくりの基本的方針や地区計画の方針等を定めるべく、ワークショップを重ね「道しるべ:街並づくりの基本方針」をまとめた。ライフスタイルブランド化部会(LSB部会)は石巻の暮らし、地産品の中から「石巻らしさ」について協議、発掘、磨き上げ、“クール(cool)”なものとして全国、全世界へ発信していくために、地元の生産業者やデザイナー・クリエイターも参加して協議を進めた。「あさって」はその成果のひとつだ。

 事業推進部会は、再開発を決意した三カ所の地権者とともに、具体的に建築の設計、事業計画を検討を開始した。中央三丁目1番地区プロジェクト(2016.12竣工)、立町二丁目5番地区プロジェクト(2016.10竣工)がその成果である。