石巻市中央三丁目1番地区プロジェクト(2015年12月竣工)


石巻のまちなか復興再開発プロジェクトの第1弾、中央三丁目1番地区市街地再開発事業。石巻モデルに従い、通り沿いに棟を配置し町並みをつくるとともに、三階に居住兼避難フロアを設け、そこを中庭として住宅を配置。住宅は「石巻テラス」として分譲され。低層部の店舗は「石巻スクエア」と名付けられた。

道に沿って町並みをつくる

 地権者のリーダーは、ここで駐車場を営んでいた。被災後、まちなかにいち早く住宅を提供したいと考え、震災の夏頃から検討を始めたが、被災した状況の中で、自らが資金を用意することができず、そのために事業化できるスキームが構築できなかった。石巻まちなか創生協議会発足とともに、事業推進部会で検討を開始。地権者が五人以上なので法定の再開発を検討することとした。

 地権者の周囲では「最初にやるのはリスクが高い」「他の様子を見てからの方がいい」という声が上がっていた。しかし地権者のリーダーは「他地区がいつになるか分からない」「早く住宅をつくる必要が ある」「何よりここが先行事例として完成すれば、他の地区も進めやすくなるのではないか」という思いで事業実施を決意、検討を開始してから約三ヶ月後の2101年2月末に再開発準備組合を設立、2012年■月に都市計画決定を得て、2015年12月に竣工した。

 ビルの名称は「石巻セントラルビル」、住居は「石巻テラス」として分譲された。低層部の店舗は「石巻スクエア」と名付けられている。

■デザイン:

 敷地は南北ふたつに分かれる。敷地が不整形で南北を宅地や細い路地に接しており、一般的な片廊下型を複数棟配置することは難しい。当初は、南側の敷地に、片廊下型で板状の集合住宅をあてはめ、北側の敷地は駐車場にする計画が描かれていた。おそらくこれが一般的な解であろうが、戸数を確保するためには高層にせざるを得ず、駐車場がむき出しになり、町並みの形成にも寄与しない。

当初案とスタディ案

 そこで石巻モデルを適用。分棟型で各棟を通りや敷地境界線に沿って配置、既存市街地の中にスッポリおさまり、町並みをつくるデザインとした。採光の取りやすい通り沿いに中層の主棟を置き、町並みをつくり、街区の内部は1〜2階を駐車場、その上の3階を避難兼居住フロアとし、低層の住棟を配置した(3階フロアの高さは5.5m、2階は実際には中二階)。街区内の棟も敷地境界線に沿って配置、中庭を生み出すようにした。奥行の小さい南街区では、街区内住戸三層の一層目を中庭型にした。南側の、立町通りに面する隣接宅地に将来建物が建った場合の影響を最小にし、かつ駐車場を覆うデッキの空間を有効に生かことができる。

建築図面

新田通りからの外観
東(都市計画道路・門脇稲井線)からの外観

3階避難兼居住フロアの中庭

中庭型住戸:中庭に面するリビングとキッチン

 構造は、プレストレスト鉄筋コンクリート造。下層階が現場打ちのPC造、住宅となる上層階がプレキャストのPRC造。この構法を採用することで、スマートでかつコンクリートの打設面が美しい仕上がりとなった。とくに、3階の避難兼居住フロアを支える円柱は、デザイン上のポイントとなっている。

三階の避難階を支える円柱

■スキーム:

土地権利変換方式の第一種市街地再開発事業。住宅77戸はすべて保留床で、フージャーズ・コーポレーションが買い取り「石巻テラス」として分譲。店舗部分は権利床であるが、地権者、まちづくりマンボウ、あす街が出資して設立した「コミュニティ・カンパニー」が取得し運営する。資金は、津波補助金と20年無利子の高度化資金が活用された。

■ビジネス:

石巻スクエアは全部で8区画の店舗があり、主に被災で店舗を失った人々に入居を呼びかけた。・・・(以下、お店の紹介)・・・

石巻スクエア案内図

写真 59:石巻スクエア案内図、阿部さんの撮った写真

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■データ

件名:(仮称)石巻中央三丁目1番地区再開発ビル

所在地:宮城県石巻市中央三丁目1番地他

建物の用途:共同住宅、店舗、附属駐車場

構造:RC造、地上6階建て。耐震壁付きラーメン構造。下層部はPRC造(プレストレスト鉄筋コンクリート造)、3階以上はPC造(プレキャスト・プレストレスト鉄筋コンクリート造)

高さ:18.4m

施工区域面積:■㎡(地形図計測)、

敷地面積:南街区:2,057.03㎡、北街区:1,976.91㎡、合計:4,033.94㎡

建築面積:南街区:1,645.00㎡、北街区:1,421.59㎡、合計:3,066.59㎡

建蔽率:南街区:79.9%、北街区:72.2%

延べ床面積:南街区:6,077.25㎡、北街区:4,767.08㎡、合計:10,844.33㎡

延べ床面積(容積対象面積):南街区:4,861.80㎡、北街区:3,813.66㎡、合計:8,675.46㎡

容積率:南街区:236.3%、北街区:193.7%

用途別床面積:南街区:共同住宅:■㎡、店舗:■㎡、付属駐車場:■㎡
北街区:共同住宅:■㎡、店舗:■㎡、付属駐車場:■㎡

接道:東側:(都)門脇稲井線(16m、現在は8m)、西側:市道・羽黒町一・千石町線(通称栄町通り)(8m)、南北街区の間の区画道路・市道中央三丁目1号線を4mへ拡幅

戸数等:店舗8区画(権利床)、住宅77戸(保留床)

駐車場:南街区:48台、北街区:44台、合計:92台

駐輪場:南街区:63台、北街区:53台、合計:116台

■都市計画

地域地区:商業地域、準防火地域、高度利用地区(中央三丁目1番地区)

指定建蔽率:80%

指定容積率:400%

高度利用地区:建蔽率の最高限度:80%、建築面積の最低限度:200㎡、容積率の最高限度:400%、容積率の最低限度:150%、壁面の位置:道路境界線より1.0m

■経過

2012年■月■日:再開発準備組合設立

2012年11月■日:高度利用地区、第1種市街地再開発事業都市計画決定

2013年5月■日:市街地再開発組合設立認可

2014年2月■日:権利変換認可

2014年5月■日:施工業者決定(大豊建設株式会社)

2014年7月■日:地鎮祭

2014年8月■日:着工